ギブソン・ガール・ヘアー(1900年代)

1900年代と言いますと日本ではまだ髪の流行というもの自体がなく(日本髪の終盤の時代でした)、今回ご紹介するのはアメリカ、ヨーロッパでの当時の流行のヘアスタイルになります。
ギブソン・ガールとは、アメリカ人イラストレータであるチャールズ・ダナ・ギブソンがペンとインクを使って制作した絵入り物語に描かれている肖像画のことであります。
まだ写真が一般でなかった当時、この優雅で美しいイラストを見て女性たちの間で流行していたと言われています。
ギブソンは19世紀末から20世紀初頭にかけ、15年余に渡ってファッションイラストレーションを製作し続け、当時の女性たちの憧れのスタイルを作りました。
頭の上部で幾重にもふんわりロールを作りまとめられたヘアセットスタイルです。
日本では2015年頃から「ギブソンタック」という名前で女性の襟足部分にロールを作るアレンジスタイルが流行していますが、そのネーミングの元ネタはこの髪型です。






























































現在流行の(と言っても2010年代の現在は大きな一つの流行がある訳ではなく様々な髪型・アレンジが混在する時代なので、そのうちの一つに過ぎませんが)「ギブソン・タック」のアレンジ。襟足部分に重さとロールを作るスタイル。結婚式などでも人気のスタイル。
本当のこの髪型の正式名称は「ワンロール」なのですが、それだとあまり可愛くもないし品も感じられないので、誰かは存じ上げませんが有名なヘアメイクさんなどが海外でも人気の出てきていたこのアレンジを「ギブソン・タック」と日本流に名づけて2015年頃から再流行させたんだと思います。

ここ100年ほどの髪型の歴史で、このように頭の一番下にロールで重心を持ってくるバランスのヘアアレンジは、主に権威のある方、もしくはお年寄り、おばちゃんのものだったんです。
それがここ数年で若者にも流行したことにより、ヘアアレンジのバランスの価値観そのものが100年ぶりに変わりました。

当事者の今の若者や、柔軟な若手のヘアスタイリストなどは何も思わなかったと思いますが、キャリアのあるベテラン美容師さんなどにとってみたら、2015年頃に日本でこのヘアアレンジが雑誌などに出て流行りだした頃、皆驚きだったと思います。本当に現在は価値観も流行もなくなりつつあって、何でもありで面白い時代になったなと思いますね。





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